その他の神経障害

スティッフパーソン症候群

スティッフパーソン症候群（SPS）は、体幹および四肢の進行性筋硬直と、自発的または誘発性の痙攣を特徴とする中枢神経系疾患です。患者の最大80％において、血清中における抗グルタミン酸脱炭酸酵素（GAD）抗体の高値および髄腔内産生が認められます。SPS全体の約5％は傍腫瘍性であり、通常はアンフィフィシン（amphiphysin）に対する抗体と関連しています。

脱髄疾患

これらの疾患は、中枢神経系におけるミエリン鞘の進行性破壊を特徴とします。脱髄病変は主に脳および脊髄に局在し、ミエリン喪失は神経伝達を障害して、運動障害・視覚障害・感覚障害を引き起こします。

代表的疾患として、視神経脊髄炎スペクトラム障害（NMOSD）が挙げられます。NMOSDは、中枢神経系の水チャネルタンパク質であるアクアポリン-4（AQP4）に対する病原性抗体と関連します。

また、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質（MOG）に対する抗体は、臨床的にNMOSDと類似しており、近年、独立した疾患単位として定義されたMOG抗体関連脳脊髄炎（MOG-EM）の血清学的マーカーとされています。

抗AQP4抗体および抗MOG抗体の測定は、最も重要な判定対象である多発性硬化症（MS）との早期判定に有用です。

自己免疫性ニューロパチー

末梢神経系も自己免疫反応の標的となることがあり、神経・神経節・ミエリン鞘に障害を生じます。症状は運動麻痺、感覚障害、自律神経障害など多岐にわたります。

ニューロンまたはグリア細胞膜の糖脂質・糖タンパク質に対する自己抗体は、多様な末梢神経障害における重要な血清学的指標です。ガングリオシド抗体は、ギラン・バレー症候群（GBS）およびその亜型や、以下のような代表的疾患群において特徴的なマーカーです：

・急性運動軸索ニューロパチー（AMAN）：GM1, GM1b, GD1a, GalNAc-GD1a IgG

・ミラーフィッシャー症候群（MFS）：GQ1b, GT1a IgG

・多巣性運動ニューロパチー（MMN）：GM1, GD1b, アシアロ-GM1 IgM

さらに、ミエリン結合糖タンパク質（MAG）に対するIgM抗体は、IgM単クローン性ガンマパチーを伴う脱髄性多発ニューロパチーに典型的に認められます。

関連情報

アルツハイマー病